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PROJECTインタビュー

ブランディング 事例インタビュー サンワ化工株式会社様 インナーブランディング

後継ぎ・新規事業経営者の羅針盤に。ブランドデザインが導いた製造業の変革と成長。

ブランディング 事例インタビュー サンワ化工株式会社様 インナーブランディング
CLIENT
サンワ化工株式会社 様
MEMBER
サンワ化工株式会社 塩見社長
シュンビン株式会社 室 信行(プロデューサー)、 吉田 志野(Webディレクター)
WEB SITE
https://sanwakakou.co.jp/ 
AREA
京都府

はじめに

会社の未来をどう描くか。その問いは、事業承継を控える後継ぎ経営者や、新しい事業を立ち上げようとする経営者にとって、いつも心にのしかかる重いテーマです。 事業環境が目まぐるしく変わる現代において、「自社の強みは何だろう?」「社員の想いを一つにするにはどうしたらいい?」「古くなった会社のイメージを変えたい」 といった課題に直面している方も少なくないでしょう。 今回は、創業から50年以上の歴史を持つ製造業の老舗企業、サンワ化工株式会社の代表取締役・塩見社長に、ブランディング導入の舞台裏についてお話を伺いました。 会社の売上が激減した苦境を乗り越え、現在は年商10億円を突破するなど、力強く成長を続けている同社。 その変革を支えたのは、社員の心を一つにし、会社の価値を再定義したインナーブランディングでした。

信頼を築いた出会いと、隠された企業の「原石」

2023年ごろ、シュンビンとサンワ化工様の出会いは、金融機関からのご紹介がきっかけでした。多くのコンサルタントが知識を押し付けるように話すのに対し、シュンビンは自身の経験を丁寧に語る真摯な姿勢が印象的だったと塩見社長は振り返ります。
塩見社長:
初めてお会いした時、理屈じゃなく『この人たちなら任せられる』という直感が働きました。数分話しただけで、自然と一体感が生まれるのを感じたんです。フィーリングって意外と大事なものですよね。
この感覚的な決め手は、シュンビンのメンバーも同様に感じていたようです。特に、会社の歴史を伺う中で、売上が95%も激減するほどの苦境を乗り越え、会社を立て直してきた塩見社長の熱意と、未来への強い責任感に深く心を打たれたといいます。
シュンビン 室:
塩見社長は、会社の未来を本気で考えていらっしゃる方だと感じました。ただ、社員の皆さんが大切にしている会社の価値観が、うまく言葉になっていない。それをしっかりと『言語化』し、新しい世代にも伝えられるように『見える化』したいと悩んでいらっしゃった。まさに私たちが力になれる部分だと感じ、身が引き締まる思いでした。

社員の本音を引き出し、心の変化を促すワークショップ

いよいよ始まったプロジェクト。まず最初に取り組んだのは、社員の皆さんが参加するワークショップでした。外向けのデザイン制作に入る前に、まずは社内の思いを掘り起こす「インナーブランディング」から着手したのです。
塩見社長:
正直、これほど丁寧なワークショップは初めてでした。最初から『何社もインナーブランディングを手がけている会社なのだろう』と思っていたのですが、アウターやマーケティングが多く、インナーは経験が少ないと聞いて驚きましたね。フレームワークをただ使うのではなく、私たちの本音を引き出すのが本当に上手なんです。
このワークショップでシュンビンが最も大切にしたのは、「社員一人ひとりの声を聞くこと」でした。
シュンビン吉田:
私たちが心がけたのは、あえて基本的なことを質問して、皆さんに『整理していただく』きっかけを作ることです。そうすることで、社員の皆さんがご自身の想いを掘り起こし、より深く会社について考える時間になったと感じています。
塩見社長:
みんな、心の中では会社への想いを持っているんです。ただ、それを表に出す機会がなかった。ワークショップを通じて、お互いの本音を知るうちに『あの人も、こんなに真剣に会社のことを考えていたんだ』と、いい意味でのサプライズが生まれました。お互いへの尊敬の念が深まり、社員同士の距離がぐっと近くなった気がします。

「フィロソフィ」が浸透させた、揺るぎない共通認識

ワークショップで言語化された会社の価値観は、18項目からなる「サンワ化工フィロソフィ」としてまとめられました。このフィロソフィを社内に定着させるため、サンワ化工様では毎月1回、全社員参加の勉強会を継続されています。
塩見社長:
ただ一方的に聞くだけではつまらないので、毎回『ケーススタディ』を取り入れているんです。例えば、『こんな時、あなたならどう行動しますか?』という具体的なお題を出し、チームで議論させています。誰が発表者になるか分からないように工夫しているので、みんな真剣に取り組んでいますよ。
このユニークな勉強会が功を奏し、会社全体に大きな変化をもたらしました。
塩見社長:
一番変わったのは営業ですね。以前は『何者か』に自信を持てなかった社員が、今では『私たちはこういう目的で、こういうことをやっています』と、聞く側に安心感を与えるような話し方ができるようになりました。複数の営業担当者が同じようなことを言うので、『何か社内教育でもされているんですか?』とお客様から聞かれるほどです。会社の『顔』として、堂々と会社の価値を語れるようになったのは大きな変化です。

デザインが未来を語り出すロゴデザインとWebサイト

インナーブランディングで固めた軸は、ロゴやWebサイトのリニューアルという「アウトプット」に落とし込まれました。
塩見社長:
新しいロゴは、工業製品である『ワイヤーハーネス』と、幸せを意味する『ハピネス(Happiness)』をかけ合わせた『Harness Happiness!(ハーネスハピネス)』という言葉に、私たちの想いを込めてもらいました。単に電線の束を作っているのではなく、『ハーネスを通じてお客様の課題を解決する』という使命をこのロゴが語ってくれているんです。
さらに、Webサイトのリニューアルも行われました。以前の静的なデザインから一新されたホームページは、社員に「いいプレッシャー」を与えたといいます。
シュンビン吉田:
デザイナーからの提案では、新卒採用を​意識したより​シンプルで​フレッシュなイメージの​案も​ありましたが、​製造業らしさも​伝わるよう、​最後に​『力強さも​ある​デザイン』​を追加提案させていただき、結果としてこちらを採用いただきました。ワークショップを通して会社の雰囲気を知ったからこそ、踏み込んでご提案できた部分だと思います。
シュンビン 室:
単に『かっこいい』サイトにするのではなく、サンワ化工様らしさを追求できたことが、このプロジェクトの成功につながったと思います。
塩見社長:
最初は『これ、自分たちの会社のホームページ?』と戸惑う声も正直ありました。でも、それを見たお客様から『サンワ化工さんのこと、よく分かります』と言ってもらえたんです。自分たちの思いが反映されたホームページなのに、それにまだ追いつけていない部分があるんじゃないか、という焦りが、いい意味でのプレッシャーになりました。おかげで、もっと頑張ろうという気持ちが湧いてきて、みんなが喜んでくれています。

売上10億円突破!ブランドデザインがもたらした「本物の変化」

今回のプロジェクトを振り返り、塩見社長は「すべてが想定外のプラス効果だった」と語ります。
特に、社員の内面に起きた変化は、目に見える成果として現れました。
塩見社長:
社員のメールの文章や行動の仕方が明らかに変わったんです。自信を持ってお客さんと接するようになり、その変化はお客さんにも伝わっているようです。それに加えて、シュンビンさんからの提案で​新しくなった会議室も大きな影響を与えています。以前は声が漏れるような場所でしたが、今では議論に集中できる空間になり、社員たちの思考を途切れさせることがなくなりました。
その結果、ご縁をいただいた当時は9億円の壁をなかなか超えられなかった売上が、昨年は10億円を突破されました。これは、人が変わり、その人が自信を持つようになったというロジックが成立する、紛れもない事実です。
シュンビン 室:
大変おこがましいですが、塩見社長は本当に素直な方で、私たちの提案をすべて『自分ごと』として取り入れてくださいました。年齢を重ねると素直でいることは難しいものですが、その姿勢が社員の皆さんにも伝わったのだと思います。
塩見社長:
本当にね、シュンビンさんには感謝しかないですよ。ただ、実は最近、毎月の勉強会で使うケーススタディのネタが切れかけているんですよ。笑
シュンビン 室:
今回お話をお聞きして、私たちがどうやって会社の歴史やフィロソフィを社員に伝えているか、その経験をサンワ化工様にお伝えできたら、新しい切り口が見つかるんじゃないかと、そういったことも面白いかもと思いました。
シュンビン吉田:
今日、お話を聞いて、この1年半で本当に素晴らしいアップデートをされていることを改めて感じました。私たちが作ったものが、ただ置いてあるだけでなく、皆さんの成長に役立っていることが本当に嬉しいです。
シュンビン 室:
これからも、どんな形でもお手伝いできることがあれば、ぜひお声がけいただきたいです。
塩見社長:
本当に良い機会を与えてもらいました。シュンビンさんは、ただ物を売るのではなく、私たちの『内側』から変革を促し、『形』として残してくれた。自分たちが何者であるかを振り返り、自信を持って前に進めるようになったのは、何物にも代えがたい成果です。
塩見社長は、中小企業の経営者の方に向けてこうメッセージを送ります。
塩見社長:
中小企業の社長には、『自分が一番わかっている』と考えがちな方が多いかもしれません。しかし、長年経営していると、知らず知らずのうちに余分なものが付着しているものです。シュンビンさんは、その『不純物』を取り除き、社長や社員が持つ『原石』を磨いてくれる存在です。それはまるで人間ドックを受けるようなもの。自分では見えなかった課題を明らかにし、会社の健康を根本から改善してくれます。構えることなく、気軽に相談してみれば、必ず期待以上の効果が得られるはずです。

まとめ

今回のサンワ化工様の事例は、単なる表面的なデザイン変更に留まらない、ブランドデザインの本質的な力を証明しています。会社の核となる価値観を言語化し、社員一人ひとりの内面から変革を促すインナーブランディング。それは、組織を活性化し、社員のモチベーションや行動変容を促します。
そして、その強固な土台の上に構築されたロゴやWebサイトは、顧客からの信頼を高め、最終的に企業の成長へと結びつくのです。

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