PRESIDENT BLOG

2025.06.09 経営のこと

創業者的経験

経営者にとって、創業者、血縁の後継者、サラリーマン後継者とあるとすると、一番いいのは、創業者だと思います。経営にとって一番大切な体験というのは、実は、創業の数年にかたまってあると思っています。

終戦後、日本が奇跡の高度成長を果たしたというのも、もちろん、日本社会のフェーズというのもありますが、廃墟と化した世界から、数々の創業者がでてきたからだと思いますし、日本企業が停滞しているのは、2代目3代目社長と、サラリーマン社長が多くなってきたからではないでしょうか?

では、次は、血縁の後継者か?サラリーマン後継者か?というと意外に思われるかもしれませんが、私は、血縁の後継者の方が経営者としてはアドバンテージがあると思っています。

私自身も3代目なので、人生を振り返って思うのは、幼少期の教育です。それは、創業者の祖父から受けた帝王学のようなものです。

元々、意識としてはなかったんですが、科学的な観点から幼少期の経験が人格に大きな影響を与えているということを知り、人生を振り返り、実際、自分の判断基準として、祖父の教えが身について人格化していると思います。そういう意味ではサラリーマンでも、ご実家が商売されていたとかですと、条件は同じかもしれません。

実際、スポーツで見てください。イチロー選手も、大谷翔平さんも、井上尚弥さんも、すべて英才教育を受けてきていますよね。

では、2代目3代目が、創業者に比べて、なぜ、ダメなのか?それは、スポーツの場合は、親が現場では助けようがないんです。でも、経営の場合は、資産を残したり、自分のビジネスモデルを残したりということをどうしてもしてしまうじゃないですか。

だから、そのアドバンテージよりも、保護というマイナスが働くのでトータルでマイナスになってしまうということです。考えてみてください。ボクシングでセコンドの人が相手を殴っていいとなったら、そのボクサーは強くなるはずないじゃないですか?ところが、経営では、そういうことをしているわけです。

私の場合は、たまたま、父が亡くなり、廃業の危機ということに放り込まれ、父からいただいた仕事を0にして一から事業を起こしたという、ある意味で、3代目の社長でありながら創業的経験をしているので、両方の気持ちがわかるんですよね。

だから、後継者としては、血縁であれ、サラリーマンであれ、創業者的な経験をしていただくということがいいと私は思っています。

特に、血縁の場合は、まったく、親が選手交代できない、セコンドに徹さざるをえない事業がいいと思います。どうしても、助けようとする親心があるのが人情なので。