PRESIDENT BLOG

2025.06.02 経営のこと

日本人の良さを引き出す

私、最近,「昭和的経営を打破する」と言っています。多様性があり、フラットな関係で、顧客ともパートナーで、サーバント型リーダーシップであるということです。こういうと、欧米化ととらえる方もいらっしゃるのですが、私はそうではないと思っています。元々の日本人の良さを活かそうということだと思っています。

戦後、松下幸之助さんや本田宗一郎さんのように社員を大切にする経営が尊敬されてきました。ところが時代が変り、そういう家族主義的な関係性が変質してきて、社員を大切にするというとことが抜け、損得の関係になって親分子分という在り方だけ残ってしまったのかなと思っています。

私は、組織というのは、その国の文化ということを無視してはできないと思っています。だから、昭和的経営の打破は、組織論としてのルネッサンスだと思っています。

先日、池上彰さんと早稲田大学の経営学者の入山章栄さんの「宗教を学べば経営がわかる」という本を読みました。その中で、その集団の価値観を規定する6つの指標があるとおっしゃられていて、なるほどと思いました。また、その価値観は、その国民の宗教観からきているというのも納得です。私たちが思っているより、私たちが幼少期に得た宗教的影響というのは根強く残っています。

では、その6つの価値観とは何か?
⑴個人志向性その国の人々が個人を重んじるか(個人主義)集団のアイデンティティを重んじるか(集団主義)
⑵権力格差 その国の人々が、権力に不平等があることを受け入れるか?
⑶不確実性の回避度 その国の人々が不確実性を避けがちな傾向があるか?
⑷男性性/女性性 その国の人々が競争や自己主張を重んじる「男らしさ」で特徴づけられるか?
⑸長期志向性 その国の人々が長期的な視野をとるか
⑹人生の楽しみ方 その国の人々の人生の楽しみ方は充足的か?それとも抑制的か?

それでいうと、日本人は、集団主義で、権力の差は受け入れないで、不確実性を嫌い、競争を回避し、長期的思考で、人生を抑制的にする傾向があります。もちろん、個人差はありますが。

しかし、これは、プラスもマイナスもありますが、個人でもそうですが、その良い面を活かすしかないと思います。私、最近、海外(特に欧米)に憧れた日本人の方で海外に住んでられる方が、日本をどう見ているか?ということに接しました。

その人たちは、口をそろえて、「日本は素晴らしい」と言います。それは、日本人が、繊細で、made in Japanのものは、本当に考えられてつくられていると言ってられました。また、常に他者のことを考えてられること、他者をリスペクトしている、物を大事するということもすごいと言ってられました。

もちろん、日本が置かれた状況が厳しいということも知っています。しかし、私は日本人がダメだとは思えないです。日本人は素晴らしいと思っていますし、この日本という土壌で経営できることを幸せだと思います。

そして、昭和的経営を打破しながらも、日本人の良さが本当に活きるような、そういう組織を目指したと思います。