PRESIDENT BLOG

2020.11.30 その他

困難に真正面から向き合う

先日、京都経営塾(旧盛和塾)で宮田運輸の宮田社長の講演に参加しました。お話を聞いて、本当に感動しましたね。

7年前です。宮田運輸の社員さんが、事故を起こされ、相手が亡くなったといいます。亡くなった方は男性で、43歳だったと。

社長が駆け付けたときは、息を引き取った状態で、亡くなられた方の親族が集まっていたといいます。社長が謝罪したら、そのうちの1人が『わざわざ来てくれてありがとう。どちらが悪かったかはわからないが、亡くなったものには6歳の娘がいたということは忘れないでくれよ』と言ったらしいです。

宮田社長は、社員のせいにせず、すべて自分の責任として、真正面から問題に向き合われます。運転手も真面目な方で、なんと、その人も43歳と亡くなった方と同じ歳。娘さんが二人いらっしゃったとのことです。もう居たたまれないというか、なんというか。

宮田社長は、3代目社長です。小さいときからお父さんの仕事を見て自分もトラックの運転手になりたいとトラックが好きで会社にはいられたらしいですね。でも、自分の好きなトラックが人の人生を奪ってしまったということで、宮田社長は悩まれます。会社をやっていていいのか?

周囲の人の励ましがあり、また、宮田社長が素晴らしい方なので立ち直られ、二度と同じ間違いを起こさないようにということで、そのトラックの運転手の子供が書いた絵を運転手のトラックに貼っていったらしいです。

そうすると、すごく事故が減り、なんと、他社も同調し、色々な業界で活用され、今では世界に取り組みが拡がっているようですね。そういえば、関西で車を運転しているとそういう車に出会ったりしますね。もちろん、それを商売でしているわけではありません。

長々とお話しをしましたが、ここからが本題です。

私が、宮田社長は素晴らしい方だなと思ったのは、このような修羅場において、逃げなかった。社長自らがすべてを自分の責任として真正面から向き合われたということです。そして、その事故以来、経営者としての器も大きくなったんでしょうね。

私も、今まで色々なことがありました。不本意ながら今から18年前は工場を閉鎖し、社員を辞めさせて
しまったこともあります。株主から株を買い取っていって恨みをかったり、得意先に事業をやめるのを言いに行ったり、クレームで炎上していてどうしようもない案件でも、率先して、人に任せずにしました。本社ビルを建てるときに音がうるさいということで町内会に1人で謝りに行ったこともありますし、社員の交通事故で5台玉突きがあり、5軒すべてその日に一緒に謝りにいったりしたこともあります。

ある社長は、問題があっても、自分は売上をあげないといけないから、そんなことに関われないから、弁護士や社員に任せているというようなことを言う方もいらっしゃいます。

もちろん、売上を上げるのも大事だと思いますが、社長の仕事はこのような会社の困難な問題に対して、逃げずに、自分が矢面にたつことではないかと思います。売上を上げるのは、むしろ、社員の方でもできると思いますよ。

そのような修羅場の中で人間として学ぶことって本当に多いですし、そういう状況で逃げないということが、やはり、組織の中で社長として信頼をえられるはずです。

何回もリストラをする会社は、経営者がせずに、絶対人にさせていると思うんですよね。痛みがないから同じことをするのかなと。現に、宮田社長も『保険会社に任すというのが一般の運送会社かもしれませんが・・』と言ってられました。

困難に真正面から向き合う、そして、そのような修羅場の中で、正しい判断をする。それが社長としての一番の成長の場だと思います。