PRESIDENT BLOG

2022.01.31 イノベーションのこと

変化の先頭にたつ

私が昔から記憶しているドラッガーの言葉で「変化はコントロールできない。できるのは変化の先頭に立つことだけである」というのがあります。これはイノベーティブなことをする上で、非常に参考になります。

20年前、社長になって、自分たちでびんをデザインし、販売する新しい事業をはじめたのですが、そこで一番最初にヒットし、今でも売れている商品があります。それは、180mlという小容量で高級感のあるびんです。それまで、その容量はありはしたのですが、今までの延長線上で、軽量化されたものでした。当時は、業界で、180mlという容量自体が売れていないということで、皆、懐疑的でした。それだけでなく、私、最初に1色だけ出して、それがそこそこ売れた時点で5色を一気につくることにしました。

びんを一つつくるということは、ものすごいリスキーですから、そのようなことをするのは、言い方は悪いですが、正気ではないと思われ
ていたと思います。ところが、営業努力もあり、そのびんが売れ始めると、デザインは違いますが、同じようなコンセプトでだしてきた商品が競合からではじめました。私は、それを見て、勝ったなと思いました。これが、社長になって最初の成功体験かもしれません。

でも、これは何も私が優秀とかそういうことではありません。時代が変わっているのに合わせたということなんです。つまり、美味しい(高い)日本酒を少しづつ複数種類飲みたいというニーズです。その際、普通の倍ほどで売るわけですから、それが安く見えるびんでいいかということです。

すでに起こっている未来をみつけ、会社というのはすぐに変われないですから、その変化をみつけ、変化の先頭に立つ。営業会議で、私が教育しているのも、ほとんどが、それを応用したものです。

ただ、それはブームでなく、トレンドに沿ったものでないといけません。例えば、少子高齢化により世帯人数が減るとか、商品が女性的に
感性を大事にするようなものになるとか、DXが進展するとか、そういうのは、間違いなく起こる未来ですから、それがそうなればなるほどプラスになるというものであることが大事です。実際、その180mlのびんも20年以上売れているわけですから。もちろん、競合などもでたり、商品のライフサイクルなどもあるので、陳腐化がまったくしないわけではないですが、トレンドに合っていれば衰退も遅いですし、また、その小さなイノベーションが新しいイノベーションを誘発するキッカケにもなります。