PRESIDENT BLOG

2020.09.07 経営のこと

成功体験の呪縛

『成功はゴミ箱の中へ』というマクドナルドの創始者レイ・クロックの本があります。本当の題はGrinding it outという題で意味は違いますが、これは良い和訳だなあと思います。

人間は、自分の小さい成功体験を探し、それをよりどころにするという癖をもっています。それは人間を進化させるにおいて、非常に重要な役割を持っています。しかし、ここが人生のおもしろいところです。その成功体験が、今度は、失敗の要因につながっていくのです。

最近、自民党の総裁選が話題になっていますね。結果はまだわかりませんが、一時はポスト安倍として最有力だった石破氏は劣勢であるということです。2位も難しいんじゃないでしょうか・・私は、これも、成功体験に引きずられた結果かなとみています。

それは、小泉さんの自民党内で主流派との対立をあおって党員、国民の支持をえていくという手法を見本にし、8年前は、それをそこまで徹底してなかったので、ある程度、総裁選で成功した。その成功体験から、党内野党的な存在に自分をおくことを強化してしまい、執行部になんでも反対という立場をとってしまった。それが党内のほぼ全員の反発を招いたということだと思います。

小泉氏の場合は、条件も違ったし、すごく、レアなケースだということが自分の中で理解できれば正攻法でできたと思うのですが、レアケースを見本にしてしまい、それにとらわれてしまったというのが今の状況ではないかと思います。

歴史を見れば、本当に、これの繰り返しであるということがわかります。これの全く逆なのが、例えは古いですが織田信長ですね。信長は、桶狭間の戦いという相手より少人数で勝ったという強烈な成功体験を持ちながら、それが、たまたまで大変危うい戦いであるということを知っていました。

ですので、それ以降は、必ず敵の倍の人数を用意してから戦いに挑んでいます。もちろん、それを可能にするための経済力を得ていたということですが、それも、そうしないといけないという思いがあったからだと思います。

弊社も、18年前びんの洗浄の会社から、オリジナル瓶をつくり販売しはじめそこから商品企画の会社になっていったこと。また、7年前、商品企画の会社から中小企業の企画部を代行する会社になるために、どちらも、トップダウンで構想もままならないまま、市場と対話していき、感性でビジネスをつくるところまできています。

これは私にとっても、組織にとっても強烈な成功体験だと思います。でも、やはり、リスクが高すぎると思うんですよね。今の状況では、その成功を見本にするより、組織として構想をしっかりして、計画し、実行していくという正攻法を取っていくべきだと思います。上のふたつは創業期におけるレアケースなので、私も組織も、その成功体験にとらわれてはいけないのかなと思います。