PRESIDENT BLOG

2020.02.17 経営のこと

節税の条件

日本というのは、本当に企業に厳しい社会だと思います。企業に対しての課税は他国に比べても厳しいというのは一般的です。特に法人税は安くなったとはいえ、まだまだ、会社に負担があります。税引き前利益の40%は取られるわけですから。

社長になってみたらわかると思うのですが、この法人税をとられるのは身が切られるようにつらいです。1年間、すごいリスクを負って、利益をえていくわけで、それを何も手伝ってくれていない、国と地方自治体が半分近く待ったなしに現金でもっていく、しかも、それは国や地方自治体が無駄使いしているというのをニュースでもみているので、余計に払いたくないと思うわけです。

そんなことに使われるなら、できるだけ、経費を使って、未来の投資にしようとか、それも、それだけならいいですが、しまいには、小さい会社だと自分の生活費を経費でいれてできるだけとられないようにします。その分、給与を安くしているからいいだろうというのが一般的です。もう100%に近い会社がそうしていると思います。

しかし、このような不確定要素が多くなっている社会で、社員を守っていこうとするならば、やはり王道は、内部留保をあつくしていくということだと思います。内部留保をあつくしていこうとするなら、税金を払うしか方法はありません。また、行政や政治家が無駄使いはしているかもしれませんが、では公共の投資は必要ないのかといわれると、それは必要だと思いますし、法人税でも世の中の役に立っているということを喜ばないといけないと思います。

私の尊敬する稲盛さんは『法人税をごまかそうとする人は一生中小企業や』とよくおっしゃってられました。これは、法人税を安くしようと思うと経費を増やして儲からないようにするしかないわけですから、そのメインタリティではダメだよといっていただいているのだと思います。はじめは経費を抑えてるつもりが、いずれは儲けも抑えるようになるものです。

とはいっても、本当に3月とかの時期がせまってくると、あらゆるところが節税にこういう方法がありますよということで、話をもってこられます。それが、日々、誠実な方でしっかりしている方でもそうなんです。社長の方も、ただでさえ、目の前で大金が取られようとしているわけですから、『みんなやってますよ』と言われると、少しくらいはとなってしまうもので。人間というのは弱いものですね。

私は、この節税に対して私なりに一つの考えを持つにいたりました。これは、自分でもすごく良かったと思いますし、トップを後継する方もまねてほしいと思っています。

それは、総資産が膨らむ節税はしないということです。節税するために余分な投資をしてしまう。例えば、厳しくなったみたいですが、社員の生命保険という名目で節税するという、これも相当皆言ってきます。これは半分経費で落ちますが、半分は資産です。(今はその経費の割合が低くなっているようです)資産ということは総資産が大きくなるので、私の基準ですとNGです。社員も会社都合で、入らされたり解約されたり、わけがわからずモチベーションが下がります。

逆に良いのは、売れなくなった在庫の処分、回収できない売掛金、これは総資産が圧縮されるので、OKです。このような節税は身を切るものです。逆に資産が膨らむのは自分を甘やかすものです。

身を切って筋肉質にしていく、そういう節税ならいいと思います。もちろん、そういう不良在庫や回収できない売掛がない常に筋肉質というのが理想なのでしょうが・・、せめて、決算期においてそのへんを見直すということでも私はやらないよりはやった方が絶対よいと思っています。