PRESIDENT BLOG
私にとっての人生のターニングポイントは、あきらかに、父が急逝し35歳で3代目社長になったときだと客観的にはそう見えます。社長になった時を同じくして、それまでに長期的に売上が落ち続けてきた会社が、あることをきっかけに急激に売上が落ちることがありました。普通は諦めると思うのですが、それに抗い、今、そこから20年経って信じられないことに、まったく、違うクリエティブな会社に変化し、上場を目指すまでになっています。
そのことに興味を持たれ、取材したいという方がいらっしゃって、色々聞かれたのですが、その中で、こういう質問がありました。「あなたは、社長になるまでも、8年間は会社におられ、その間も5%ずつじり貧で会社の売上は下がっていたとおっしゃっていますが、もし、社長になった時点で急激に売上が落ちる出来事がなかったら、会社を変革できたと思いますか?」と。
これを聞いて、ずっと考えましたが、「正直わからないです。ひょっとすれば、変われなかったかもしれません。環境が自分に与えたインパクトは大きかったと思うので」と答えました。
茹でカエルの理論というのがあります。それは、カエルを、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後には死んでしまうというものですが、ぬるま湯がいきなり熱湯になったおかげで、そこから逃げ出すことができたのかもしれません。
そういうことを帰ってから家内に話しましたら、「あなたは変わっていた」というんですね。それは、結果はでていなかったが、社長になる前もそれなりにあがいていたのを見ていたのでということでした。
それを考えると、その変化を受け入れ、変わる準備というのはできていたのかなと思ったりもしました。つまり、ターニングポイントはそこのように見えるのですが、その前にすでに運命が決まっていたのかなと、そういう気もします。
でも、結局は、どこで、自分が、そのように変化を拓いていけるような資質をもったのかはわかりません。また、それは考えても仕方ないのかなと思います。
問題は、試練に対して、逃げずに前向きに生きたという、それに尽きるのかなと思います。試練は、この20年間、常に止むことがありません。今の試練は、昔にはなかった試練です。試練は、自分を高めてくれるものとして、試練の中に隠れているチャンスを見つけ、活路を拓いていく。それが人生だということから考えると、毎日の細かい判断も含め、それが自分のターニングポイントに常になっているのかなと思います。