PRESIDENT BLOG
認知と行動のループという考え方は、組織開発コンサルタントの「ウィリアム・R・ノーナン」が提唱した考え方で人と人がコミュニケーションを図る際に生じる「認識のズレ」と、そこから発生する人間関係の問題について認知と行動のズレを可視化し、改善策を考える際に役立つ方法ということです。これはすごく単純ですが、でも、本当にその通りだなと思います。
例えば、社員との関係に悩まれている経営者も多いと思いますがこれも、「認識のずれ」からきていると自分には見えます。ただ、これは経営だけでなく、すべてにおいて言えると思います。
一つ例を出しますね。
社長(自分)の認知
社長(自分)の行動
社員(相手)の認知
社員(相手)の行動
というループで考えます。
自分の認知
まず、社長がある社員の認知として、あまり仕事をしてくれない言うことを聞かないと思っています。
自分の行動
ところが、その社長の行動は、言うことがコロコロ変わっているとします。
相手の認知
だから社員は何が正しいかわからないし、振り回されるのが嫌だと思っています
相手の行動
なので、社員は、自分の仕事だけをして余計なことはしないという行動になります。
ここで重要なのは、実は、自分が見えているのは、自分の認知と相手の行動だけなんです。相手の認知だけでなく、自分の行動さえも見えてません。
そうですよね。だって、自分の行動は常に外を向いています。ですから、自分が見えないのです。自分がどのようなしぐさをしているのか?自分の振舞い、笑顔を相手にも良い印象を与えているのか?そういうことも見えていません。
そうであれば、当然、相手の認知も見えていません。なので、まずは、自分自身を内省するということが大事になります。最近、リモート会議などがありますが、それはそれで問題の面もありますが、自分の振舞いが見えているというのはメリットかもしれません。
実は、人間社会の問題も仕事ができるできないも、元を正せば、ほとんどがこの問題だと私は思います。逆にこれができれば、すべてがうまくいきます。
釈迦は、人間の心身を傷める三毒ということで、貪瞋痴と言いました。このうち、「痴」は智慧がない状態と以前も話したと思います。「痴」というのは、やまいだれに知と書きます。やまいだれは病気を表しているので、知ることができてない病気がまさしくこの自分の行動と、相手の認知が見えていない状態のことです。
これを防ぐのは、まずは、無私の心で、自分を客観視するというのがスタートです。そして内省し自分の行動が相手にどう見えているかを知るということですね。そのことで、相手の認知が見え、相手の行動を理解し、相手の認知をアプローチできるようになるという感じかなと思います。
ただ、これを100%見えていてコントロールできるというのは、もう釈迦のような状態なので、それは難しいと思いますが、ただ、少し気をつけるだけでも、随分違うはずです。もし、人間関係がうまくいってないなら、認知行動ループを意識してみてください。