PRESIDENT BLOG
よく、社員のことで悩んでいるという経営者、管理職の方は多いと思います。というか、ほぼ100%そうかもしれません。人間のほとんどの悩みは、人間関係だと言います。特に、自分の採用した人が期待して、それが、自分の思い通りでないとそこに苦しみが生まれます。
その苦しみとは、何か?それは、自分なら、こういう行動はしない。こういう言葉は使わないということです。「自分なら」ということを「普通」と言い換えます。つまり、「普通なら、こんなことしない、こういうことは言わないだろう」ということです。
私も、経営をして24年経っています。色々な人を採用して、残念ですが、辞めた方もいくらもいますから、その悩んでいる気持ちよくよくもわかります。
何回も言っていますが、私が社長になったときに会社の危機がありました。それを、人生を賭けて新規事業にチャレンジしようとしました。そして、そのために、昔のことですので、日本全国に飛び込み営業をしようということで、私と一緒にそれをしようとしてくれる人を2名採用しました。
それで、準備期間が1年近くあり、ようやく、この日から新規事業がスタートするという日から、なんと、そのうちの一人の方の子供さんが病気になられ、ずっと休むという日が続きました。また、会社にこられても、遠出は難しく、日本全国の中でもできるだけ近くを担当してもらうことにしたのですが、どうしてもご家族のことがあるのか成果が上がらず、ほとんど戦力外のような状況になります。
そのときの私の気持ちはどういうものか?というと、「なんと自分はついてないのか」ということです。はじめは、もうそれが気になって、新規事業を成功させないといけないし、資金繰りでお金を用意しないといけないし、でも、その人が戦力外ということが気になるんですよ。そして、イライラするんですよね。もう、私の心身がズタズタになっていきます。
途中で、そのイライラした状況はダメだなと思い、その人ができることにしぼって、内勤の事務の仕事をしてもらいました。本当はそのために採用したのではないのですが、そこで、私がイライラしていて、事業を成功する方に心や頭脳が向かない方がよくないと思い、そうしたんです。
そういうことがありながらも、なんとか、新規事業を成功することができ、会社も、もっとレベルが高くなったのですが、その人の問題はずっと解決せずに、かなり長くは勤められたのですが、最終的には辞めていかれました。
それで、今、振り返って思うのは、その方が経営者としての自分を育ててくれたなということです。もし、社員が優秀な方ばかりで、自分の言うことに従順な方ばかりだと、自分は経営者として何の苦労もないじゃないですか?
しかし、若いうちに、追い詰められた状況で、父からいただいた事業を段階的に閉めていって、新規事業を成功させるという離れ業をしながら、なおかつ、2名のうち1名が戦力外だった。そして、そういう人がいながらも、会社が悪い雰囲気にならないように、自分もイライラせずに常に明るく前向きになんとか100%ではないかもしれませんが、心を維持できた。維持できないと危機を乗り越えれませんからね。
だから、社員の方で悩まれている経営者の方によく言うのは、「その問題の社員さんは、あなたを鍛えるために、あなたに必要だからあらわれたんですよ。感謝しないといけないですね」と言います。逆に言うと、そう思うしかないわけです。
そして、イライラするよりも、感謝した方が、絶対いいんんですよ。鍛えるというのは、心を鍛えるということで、その鍛え方はそういうふうに、心を置き換えるということです。「そんなことできるかよ。事情も知らないのに勝手なこと言うな」と言われそうですが、私も24年間で、色々な経験をしていて、その結果、そういう結論にたどり着いています。これは机上の空論ではないと思っています。
かといって、与えた仕事はしてもらわないといけないし、当然厳しいことも言わないといけないのですが、それが自分の感情にきてしまうと、自分自身の心身を傷めることになります。だから、するとしても淡々とするしかないんです。自分の心をコントロールして。でないと、暗示の感受性性能で、他の問題のない人まで影響を受けてしまいます。
これは、人だけでなく環境も同じだと思います。自分の思い通りにならないから鍛えられるんだということを心に置くだけで、心が前向きになり運命も好転していくと思います。