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興亜繊維工業株式会社 新規事業

老舗繊維メーカーが挑んだ、BtoBからBtoCへの挑戦

興亜繊維工業株式会社 新規事業

受け継がれてきた繊維技術で、未知のBtoC市場へ挑む。
滋賀県高島市に拠点を置く、興亜繊維工業株式会社様。1944年の設立以来、自動車用タイヤコード(スダレ織)を主軸とした
ゴム用補強繊維の加工事業で、日本のモビリティ産業を支えてきた老舗企業です。
しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。2013年の台風18号では工場が水没する壊滅的な被害を受け、
復旧後も「自動車産業のEVシフト」という構造変化に直面。売上の大半を占める既存事業がいずれ縮小するという危機感から、
北村社長は既存事業に依存しない、新たな事業の構築を決意されました。

そんな​中、これまで培った技術をさらに進化させた、​複合技術による画期的な合成繊維製品の開発をスタート。
「従来品より圧倒的に軽く、強く、長持ちする」この新素材なら、農家や釣り人が​抱えている​課題を​必ず解消できる——。
北村社長はそう確信されていましたが、同社にとってBtoC市場は未知の領域でした。
どう価値を届けるべきか模索される中で、ブランディングの専門的な知見を求め、シュンビンへご相談いただきました。
確かな「機能」を、「つい手が伸びる魅力」へと昇華させたデザイン戦略
プロジェクトの第一歩は、スーパー繊維の強みを再定義し、競合との差別化とブランドコンセプトを明確にする
「ブランド構築ワークショップ」でした。
ここで定めた戦略を基に、基幹技術である「Xenola(ゼノーラ)」と、そこから派生する
2つのプロダクトブランド「CROWTO(クロウト)」「ZESSAN(ゼッサン)」が誕生しました。

■ 基幹技術ブランド「Xenola(ゼノーラ)」
Xenola(ゼノーラ)は、タイヤコードやサイクロン掃除機用撚糸など、正確で高い品質が要求される現場で培った
撚糸の技術を更に進化させて生み出した、ハイブリッドスーパー繊維です。
スーパー繊維の特徴を反映した力強いフォントを採用し、受け継がれてきた技術のDNAと、素材としての強靭さを表現しました。

■ 防鳥糸ブランド「CROWTO(クロウト)」
カラス除け防鳥糸として、ネーミングからロゴ、パッケージ、ブランドサイト、PR動画までトータルに制作。
・ブランド・アイデンティティ:「試したくなる新しいカラス除け対策」
・デザイン戦略:実証データに基づく信頼性をロゴで表現。パッケージには既存の防鳥糸にはない
「銀ペット(光沢素材)」を使用することで高級感を演出しつつ、カラスのアイコンを配置して用途の分かりやすさも両立させました。

■ 釣り糸ブランド「ZESSAN(ゼッサン)」
ハイエンドな釣り糸として、ネーミングから販促ツールまで一貫して制作。
・ブランド・アイデンティティ:「挑戦欲を掻き立てる新世代ハイブリッドライン」
・デザイン戦略:ロゴ上部はZESSANの「Z」と「朝夕の太陽」、下部は「三」と「海」をモチーフにし、
自然との調和と日本ブランドの誇りを表現。シンプルなラインと曲線美で、モダンかつ中性的な世界観に仕上げています。
展示会で初披露!現場の声が証明する「本物の価値」
2024年10月の展示会で「CROWTO」が、続く2025年1月の展示会で「ZESSAN」が初披露されました。
その後、CROWTOを導入した柿農家やブドウ農家の皆様からは
「カラス被害が減った」という喜びの声が届いており、他社様との商品開発も進行中です。
一方でZESSANは、釣り愛好家からのフィードバックを基に改良や新しい開発が進むなど、
2つのブランドは着実にファンを広げています。

北村社長からは、「シュンビンさんは、地理的な近さだけでなく、担当者のきめ細やかな対応や、
工場に足を運んでくれる姿勢など、信頼に足ると満足しています。」という評価をいただきました。
(※詳細は、お客様インタビュー記事へ)

今後も引き続き身近なパートナーとして、挑戦をサポートし続けます。
PRODUCER:
Nobuyuki Muro
DESIGNER:
Sayaka Hashimoto /Noriko Matsushita
WEB DIRECTOR:
Hisashi Kobayashi
WEB DESIGNER:
Sayaka Hashimoto /Noriko Matsushita