PRESIDENT BLOG

2023.03.13 その他

虚心平気

健康経営と言われているが、一番、それが必要なのは中小企業の経営者ではないか?ということをおっしゃっている人がいましたが、そうかもしれないなと思います。中小企業の社長にかかるストレスは現代社会ではありえないものだからです。ここだけは昔からなんら変わらないと思います。(だからこそ、私たちは応援したいのですが・・)

何度も言うように、私は35歳で社長になって、いきなり危機が訪れ、それを乗り越えてきました。当時は、父からいただいた事業が2年~3年で半分になる勢いで減っていて、新しい事業を起こすが失敗からスタートしダブルのキャッシュアウトで資金ショートを起こしそうになり銀行から融資を断られるという倒産寸前まで追い込まれました。

35歳で、誰にも相談することができず、家族にも言えずに、自分ひとりで、悶々としていました。工場を閉鎖し、何人かには辞めていただかなければならなかった。それもすべて自分で告知していきました。

得意先とは今までのサービスをやめることで喧嘩し、仕入先とも、合理性のないところは全部取引をやめていきました。新規事業をするのに新しい社員を入れましたが、十分な待遇はできず、自分の報酬を減らし、待遇が不満な社員にボロボロの会社なくせに、希望を与えて、なんとか不満がでないようにしていました。

社長になって初年度は会社はじまって以来の大赤字で株主にはボロカスに言われ、昔からの恩人や得意先で外部役員というような人も辞めていただき、株主も関係が薄いとことは株を買い取っていきました。後になってですが、恩知らずと陰口も言われていたと聞きました。精神はボロボロで、それが悲鳴をあげて、身体にも影響を与えていきました。

胃潰瘍、大腸ポリープなどストレスは胃腸にきて、なお、蕁麻疹が毎日のようにでて、薬の投与と毎日タオルで患部を冷やしていました。普通の社員は休めばいいでしょうし、心療内科に行けばそういう診断をしてくれるでしょうね。でも、自分の場合は、それをしたら会社は間違いなく100%倒産する。倒産すれば、全部担保を出しているので茶碗一つ残らないといわれる状態で、家族にも悲惨な人生をさせることを余儀なくする。まさに、生きるか死ぬか、そういう逃げ場のない修羅場を経験してきました。

それが、2~3年、そういう状態でガムシャラにやっていると、不思議なんですが、体調がよくなっていき、それが、今でも、まったく同じ病気になっていないんですね。というか、社長になってから病気で休んだこともありません。

当時は、会社が徐々に上向いてきて、それで、ストレスが軽減されていたのかなと思ったんですが、今、思えば、辻褄が合わないんですね。時期的に。それで、今思っているのは、集中ということです。仕事に集中し、顧客の問題解決に集中することで、自分が病気だということも危機だということも忘れていったんです。

病は忘れることによって治るといいますが、そのことを気にしないと、人間の持つ自然良能力が発動し、健康をつくりあげていきます。とはいえ、ストレスがまったくなくなったわけでなく、ひとつの壁を越えると、また、新しい壁がでてきて、今の今まで、ストレスがない、壁がない状態というのは社長になって21年、1回もありません。そういう意味では、無意識にストレスと付き合う方法を
学んでいたのかもしれません。

それと同時に、経営者は正しい判断をしないといけません。感情的だと、それができないし、何かにとらわれていると間違った判断をしてしまいます。そういう判断をして、色々な失敗を反省する中で、ネガティブな感情が正しい判断を曇らせる大本だとも感じるようになりました。

こう考えると自分の健康も、運命も自分がつくっているということにも、自分の人生を振り返って腑に落ちるようになりました。多くの失敗を繰り返してですね。では、どういうふうに自分をつくるかというのは、虚心平気ということです。気を平らかにして、心を虚しくすることで、心にわだかまりをもたないことです。つまり、相対的なこと、あいつに負けないとかで人を見るのでなく全てを忘れて、集中すること、そのことで、正しい判断と人間が持っている潜勢力を発揮し、健康も運命もつくっていけるということです。社長になって集中することで研ぎ澄まされ、病気が治っていったのと同じです。

ある方が、「身体は身体をよくしようとしている(自然良能力)、それを邪魔しているのは自分の心である」と言っていましたが、これは我が意を得たりと思いました。でも、言うのは簡単ですが、そういう自分をつくるのは難しいと思います。感情でも会社のためという公憤はいいですが、それも瞬間で、感情はすぐに手放し、虚心平気の状態にすぐに戻すということをしないといけません。

虚心平気な自分をつくるために、日々、自己陶冶をすべきだと思っています。私、毎日、座禅をしていますが、それも、この虚心平気な自分をつくる一貫です。